手放せないもの
volume 20


「私だったらみんな自分のものにしておきたいから絶対にこんなお店できない」なんてお客さんからよく言われます。たしかにざくざくと在庫があって在庫が少なくなったらまた発注すればいいという商品はひとつもありません。もしかすると2度と実物を目にすることはないかもしれないと思うものもたくさんあります。
そんなものは「いいものでめったに手に入らないものだから紹介したい!」という気持ちと「こっそりと自分の宝物としてしまっておきたい」の葛藤はいつもあります。

その中でもいくつかやっぱりどうしても手放せないものがあります。そのひとつはたとえばパリの蚤の市で出会った古いクマです。もともとそんなに高くもなかったのですけれど一応、蚤の市の決まりとして少し値切ってみました。そしたら物静かな感じのお店のおばさんは少し安くしてあげるけどそのかわりといって何か条件を出してきました。そのフランス語は私には難しすぎて困っているとおばさんはちゅっちゅつとクマにキスするようなしぐさをしました。それがとってもかわいかったのでびっくりしました。ずっとかわいがって大切にしてくださいという意味だったようです。
べつにクマを集めているわけでもないのに蚤の市のおばさんの魔法がかかってしまったそのクマは絶対に絶対に手放せない!となってしまいました。

そして私たちもclozzetの商品にそんな魔法がかけられたらいいなあって思いながら商品についている泥を丁寧に落としてみたりキーホルダーなんかも磨いてみたりしています。発送の準備ができた商品には必ず心の中で「どうか無事に届きますように」と祈って送り出します。

2004. 5.18
clozzet
ヒダケイコ