古い絵本のひそかな楽しみ
volume 22

 

私は絵本がとても好きです。現代のものも好きですけれど古い絵本はもっと大好きです。かわいいイラストと古い紙や古いインク特有の色をながめていると時間の流れがいつもよりゆっくりになります。

それにときどきオマケの楽しみもあります。表紙を開いたところに何年のクリスマスに何々ちゃんへというおばあちゃんから孫への手書きのメッセージがあるのをよく見ます。なんだかあったかい気持ちになります。

先日、絵本のページをめくっていたら鉛筆でかいた子供らしい文字の落書きがありました。フランス語だったので私の理解もあやしいところがありますけれどそれは大体こういう内容でした。

○○くんへ
君に直接言えないから君の本に勝手に書いてごめんね。君がこれを読んでくれるといいんだけど。こないだ僕の一番仲のいい友達は君だって言ったけど実は違うんだ。本当はXXXくんが一番の仲良しなんだ。

ところでこの ○○くんはこのメッセージを読んだのでしょうか。それとも何も知らずそのまま大人になったのでしょうか。ちょっとせつない他人の過去をのぞいてしまったような気分でした。

これを書いていて○○くんやXX君ではなく名前を確認しようと思ってその絵本を探してみたらもう店頭からなくなっていました。この落書きのために少し値段を安くしていたのですがそうとは知らずどなたかが買ってくださったようです。その絵本を買ってくださった方もきっとこの 落書きを見つけるはずです。そのときに私と同じように「お!」と思ったりするのかなあと思うと不思議な時間のつながりを感じます。

2004.10.1
clozzet
ヒダケイコ